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じめじめとしてとても暑い朝だった。 むくっと起きると,例によっておむすび1食分を握り,パックに詰め込んで家を出た。 国道23号線を名古屋方面へ向けて北上する。 気温が高く,湿度も高く,ダンプの数も多いと来た日には不快指数200%オーバーである。 「しゃあないな」 国道258号を,桑名より大垣方面へ向ける。 ほどなく東名阪自動車道桑名東I.Cが見えるので,そこから高速へ入る。 時速100km程度で巡行する。 産業道路と化しているので,このくらいの速度ではびしばし抜かれるが 下(23号)よりは快適だ。 交通マナー最低の名古屋市内を走らなくて良いし。 名古屋西I.Cより名古屋I.Cへ向けて,地上より地下へ潜入する。 アタマの中はタイトーのビデオゲーム「ダライアス」のテーマが流れていた。 ちょっとカッコいいぞ(笑)。 名古屋I.C手前で地上に出ると,そのまま東名高速道路に入り,名神方面へ向かう。 さらに中央道分岐より中央道を走り,多治見で降りた。 この後は国道19号中山道をひた走って行く。 多治見−土岐−瑞浪−恵那−中津川と,岐阜県の中でも名古屋近郊の都市をするすると抜けていく。 中津川を超えると,完全に山村だ。中央線が隣を走っているが,電車には滅多にすれ違わない。 木曽川水系の優雅な眺めを左に,南木曾を70〜80km/h程度の快適な速度で駆け上がって行く。 バイクに乗ってて,一番快適な時間。そして一番幸せな時間かな。 疲れたので,とおりすがりの道の駅にバイクを止め,家で握ってきたおむすびをかじる。 同じく家から入れてきたお茶を飲みつつ,また走る。 宮ノ越とかいう駅でひとやすみ。駅員もいなけりゃ乗客もいないし,少しノンビリとする。 1時間くらいして,相当のハイペースでまた中山道を走り出す。ほどなく塩尻へ到着。 ここでふと疑問,『オイラは何をしに来たんだろうか』 その疑問に答えるべく,塩尻から岡谷を抜けて,下諏訪町へ入ったあたりにあった看板 霧ヶ峰高原 そっちめがけて路面状況の悪い山岳道路をZZ-R250にムチ打って走り出す。 くねくねのワインディングを2速と3速で10kmも走っただろうか。 突然視界が開ける。 「うわぁ〜.............」 今まで見たこともないような きれいな高原 霧ヶ峰高原が目の前に現れた。 どうも裏側の道路から入ったらしい。違う方向から多くの車がやってきては 駐車場探しにうろうろしている。バイクなら道端に止められる。 しばらくボーッとしていた。いい景色だよな。生きててよかったよな。 30分もしただろうか。 急に現実に引き戻される。 今夜はどうしようか。 とりあえず,ビーナスラインを下る。 黄緑色と深緑のコントラストが美しい,白樺林を何度も抜ける。 「松本」という看板が出てきたので,そけを目当てにする。 それ以外の地名は知らなかったからだ。 なかなかにコンディションの良い有料道路を,右に左にヒラヒラと下る。 250ccだってなかなかに速いじゃん。上りはぜぇぜぇ言ってたのにさ。 松本市内到着。JR松本駅へ直行。宿を探す。時間は5時ちょうど。 その時間なら,長野まで走れる。ということで長野駅前のビジネスを取る。 ZZ-Rは再び19号中山道へ戻る。この辺は中山道とは呼ばないらしい。 西街道だったか千石街道だったかどっちからしい。 長野と書かれた看板を眼前に,ひたひたと車について走る。 幾多のコーナーと,幾多の車をすり抜けて午後7時前,長野市到着。 駅前のホテルを取ったので,簡単に見つかった。 バイクを駐車場奥に隠して,街中に繰り出す。 この日のビールは 格別だった。
翌日...... 9時頃までぼーっと寝て,目が覚める。 「あぁ,ここは 長野だったっけ」 「今日はどこへ行こうか。これ以上北上したら群馬県だしなぁ,一周して帰ろ」 などとボヤいたあげく,荷物をまとめて朝の長野市内を出る。 土地勘がなく,みちがよくわからないので,リンゴ畑を左右に,国道18号線をあいも変わらず ノコノコと........と思いきや,何とこの18号。凄い渋滞。 道には慣れていないのでほどほどにすり抜けしたりして,野尻湖のあたりで休憩。また走り出す。 渋滞はますます激しくなるばかり。気温32℃。誰だよ信州は涼しいなんて言った奴ぁぁ。 バイクの水温がめらめらと急上昇。ラジエーターファンも景気良く回っている。 3時間くらい蠢いただろうか。新潟県侵入。上越市到着。道がわからなかったもんだから,直江津港の直前まで ノロノロと走ってしまう。と,突然。エンジンブレーキがかかったようなイヤ〜な感触。 「まさか」 そう,オーバーヒート(笑)。 とりあえず近所のコンビニの目立たない所にバイクを停め,あわてて車載工具でカウルを外し始める。 キナくさい やな匂いがする。 サーモスタット側のカウルを外したところで,キレてしまった。 「カプラ抜け......」。そりゃラジエーターファンが回らないハズだ。 まぁそれに気が付かない私本人もどうかしているみたいだが...... 新潟県でエンジントラブルとは恐れ入る。 どうせなら家の近所でやってほしかったわと思いつつ,カプラを繋いだらファンが「むぉ〜ん」と回りだした。 しばらくその様子を観ていたが,気を取り直してエンジンをかけてみる。 一発でかかった。キナくさいけど。 そのまま水温が少し下がるのを待ち,そのコンビニでパンと牛乳を買ってお昼にする。 「走れるか.....!?」 カウルを付け直し,改めてエンジンをかける。普通にかかる。 新潟に知り合いはいないので,ここにいても仕方がない。8号線に向けてゆっくり走り出す。 8号線のとあるバイク屋でエンジンオイルを抜き替え,LLC(ロングライフクーラント:冷却液のこと)を減った分補充してもらう。 焼き付きがあるかどうかは詳しく調べないとわからないが,とりあえず走るのに問題はないそうとのお言葉。 「カワサキのエンジンは強いからなぁ。電装系はさっぱりだけどね」とメカの兄ちゃんは語ってくれていた。 気を取り直して走り出す。既に午後2時。糸魚川まで20kmくらい北の位置。 疲れたので北陸道に乗ることにした。こういう時は高速道路の方が楽だし。 ゆっくりと80kmを守って走る。 別に安全運転しているわけではなくて,単に水温計を眺めて走っているだけである。 横を覆面パトカーに捕獲された哀れなトレール車がいたりした。北陸道はヘリが追跡してくることで有名らしいが, ヘルメットをかぶっていてはヘリも何もありゃしない。 富山までのろのろと下ってきた。バイクは何とか無事らしい。 ふと急に思い立って,北陸道を降りた。 富山へ来たら,一度寄りたいところがあったのだ。41号を新湊向けて北上。富山城付近より西へ。 簡単にそこは見つかった。 「呉羽紡績跡地」 当時なにやら建設中だったみたいだが,一度寄りたいところだった。 詳しい話をすると長くなるので何故こんな所に寄りたかったのかは省略したい。 いや,別に何の想い出も感傷もやましいこともないんだが......。 呉羽山公園で一休み。あとは街中をアホの如く惚けながら,再び北陸道を西へ。 金沢東で降り,能登半島北上を目指す。 能登道路を時速120km/hで快適にかっ飛ばし,能登穴水まで一気。 穴水で今夜押さえた民宿に到着が少し遅れる旨連絡し,輪島へ向けてヨロヨロと動き出す。 能登半島の道路状況が良くないとは聞いていたが, まぁオイラのバイクの状況も手放しで喜べるほどでもないので 相変わらず水温計を眺めながらオーバーヒートに気を付けて走る。 午後7時過ぎ,輪島市到着。輪島駅前の民宿に転がり込む。 何度も来たことがある所だ。1泊2食5千円チョイで,駅前至近でいろいろ便利。 あぁ いろんなことがあって,ホント疲れた。あうあう。
朝7時に起きる。朝市だよ朝市。ここまで来て朝市を覗かないわけにはいくまいて。 そんなこんなで早々と朝食をとり,民宿のオバチャンにわけを話し,バイクを担保に自転車を借りて(笑), 海岸通りへと繰り出す。 とても面白かった。いちいち書きはしないけど。その割にモノはたいして安くもないというのが感想。 輪島塗の箸を買い込んで1時間ほどで帰る。 担保のバイクと自転車を交換。ZZ−Rはやっと南へステアリングを向けた。いよいよ帰りだ。 北陸道を通れば速いが,私はヒネくれていたので白川街道で帰ることにした。 穴水まで戻り,和倉温泉の脇を抜け,能登鉄道と一緒に七尾市へ。結構都会っぽかった。 そのまま休みもせずに氷見−高岡−砺波と繋ぎ,お世辞にも道路状況の良くない156号線を走る。 実は高山まで走ると,私がまだ走ったことのない岐阜−長野越 通称「野麦峠越え」があるが 今回はやめた。実は今までに2回近くまで走って,2回とも崖崩れに阻まれている難所中の難所だ。 一度超えてみたいけど。幽霊が出るという噂もあったりして....... それは余談として 白川村まで走って休憩。そう。至るところ合掌造りの世界遺産的な村。 ツーリングっていいよなぁ。と こういう時に思う。 アイスクリームをなめつつ,再び白川街道を下る。蛭ヶ野高原を横目に快適にすっ飛ばす。 時期を外さずに来ると,コスモス畑がきれいなところなので,コスモス街道とか呼ばれることもある。 そのまま下ると,旧越美南線の北濃駅にたどり着く。いよいよ北陸ともお別れだ。 越美北線の九頭竜湖はその隣の福井県側にある。福井県境まで10kmもない。実は凄い山奥にいる。 こんな所に鉄道を引こうとした国鉄って何考えているんだろうナァと思いつつ,旧越美南線の長良川鉄道と 併走して長良川の中流沿いをずっと降りてくる。途中の喫茶店で休憩+昼食。 少しうとうとした後,幾多の集落を越え,よーやく美濃市へ。 ここまで来ればもう帰ったようなモノである。 美濃−岐阜各務原間は有効な道路がないので,当時その間しか開通していなかった東海北陸自動車道を のんきに下り,各務原(かかみがはら)市より21号線を大垣市内へ。 大垣より258号線を桑名へ,あとは23号をひたすら下って ただいま 三重県。 そんなこんなで,波瀾万丈のツーリング話は おしまい。 - Fin - //