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9月某日 土曜日 台風が迫っている。 雨は少ないが,風がとんでもない朝。 こんなことなら仕事をしていた方がよかったかと考えもした。 午前9時。 気象情報では台風が能登半島沖にいることになっている。 「台風○○号は午前9時に石川県輪島市沖の日本海を1時間あたり25キロの早さで東北東に....」 しばしの沈黙の後 私はつぶやいた 「決行だ......」 外は強風。1食分のお弁当をでっち上げ,覚悟を決めて荷物を括り, 鈴鹿を出発....。スタート!....はいいが,荷物はどーした?! 我がZZ−R250は強風のため最高速度制限のかかった 国道1号線を亀山へ向かって進んでいた。 途中から急に雨が激しくなってきた。 でもいまさら引き返せない。 それに台風は遠ざかっていくハズだ。 そういい聞かせながら暴風に近い中, 亀山から25号線名阪国道にバイクを乗せた。 雨さえ降っていなければ快適なクルージングが愉しめるが, 最初に加太越えが控えている。 まだ雨は降り続けている。 そこで雨がかからないように一旦トンネル入り口直前でバイクを止め, シールドにママレモンを塗りたくり,ブーツプロテクターを着ける。 横を何トンもあるトレーラーがブンブン走っていく。 そう,高規格道路なのでみんな時速100km近い速度で走っているのだ。 ひとつ間違えばはねられる。 行けぇ ままよ。 そのままこちらも時速100km近いスピードでバイクを西へ向ける。 危険なので比較的速度の遅いトレーラーの後ろを 100m以上の車間をあけてついていく。 バイクは何の感動もなく淡々と走り続け,加太峠を難なく越え, 伊賀盆地を抜け,奈良県に侵入。 そのまま天理市内へ入る。 この辺で雨が止んできた。 そのまま名阪国道より西名阪道へ。ここから有料。 香芝S.Aで休憩。雨具をたたんでブーツカバー以外の武装を解除した後, ニープロテクター(膝当て)をして出発。 松原料金所を過ぎで阪和道へ入る。 (注:現在は柏原料金所になっている) 阪和道がどこまで開通しているのか知らなかったので, 行けばわかるだろうと思っていたが, この時既に和歌山まで開通していた。ラッキー♪。 和歌山で阪和道を降り, 南海の軌道と併走してそのまま和歌山港へ, いままでフェリーが欠航していたため足止めを喰ったクルマで ごった返している。 「おらおら どいたどいた〜」 反対車線を逆送し,南海フェリーのターミナルへ。 時刻表を観ると,あと30分で出港だ。 あわてて切符を買い求め, キャンセル待ち&乗船待ちのクルマの列をかき分けて 先頭の船に近づくとクルーが手を振ってお出迎え。 『おー バイクの兄ちゃん。早く乗れぇ〜』 『ほほーい』(のはらしんのすけ調) ということで他のクルマを200台ほどおいてきぼりにして 運良くフェリーに乗れた。 ここから小松島まで2時間ほどゆっくりと畳の上で お弁当を広げて昼休み。 このルートが考え得る一番早い四国上陸ルートだ [注: 当時明石海峡大橋はまだ未完成] 2時間で予定通り徳島県小松島市へ。また雨が降ってきた。 とりあえず国道192号線を徳島本線を横目にひたすら西へ走る。 少しでも雨をよけたかった。 西へ西へ。 阿波池田あたりで雨が止んだ。 急に緊張感がなくなったせいかどっと疲れが押し寄せてきた。 道端にバイクを止め,へたり込む。
写真を見ていると平和そうだが,実は本人はヘロヘロである。 1時間は呆けただろうか。すっから天気は回復。 再び気を取り直して川之江市方面へ直行。 予讃本線を右手に11号線を西へ走る。 きょぅはどこまで行けるかなぁ〜と考えていたが, 新居浜市で泊まることにした。 途中で駅前のビジネスホテルに電話をし, 部屋があることを確認。 看板の言いなりに新居浜駅へ。 ホテルを見つけ,チェックインし,駅前をうろうろとしてみる。 見知らぬ町の風景を探訪するって大好き。 この日は近所の飲み屋で1杯やった後に,ホテルへ戻って寝る。
翌日は日曜日 .... サラリーマンの悲しい性で7時頃には目が覚めてしまう。 散歩がてら新居浜駅まで歩き,駅でしばらくボーッとしている。 もう2度と来ることはないだろうけど, 適当にうらぶれていて,適当に田舎っぽくて,いい所だった。バイクと一緒に記念写真を撮って出発。 (どうせなら,ちゃんと新居浜という文字を入れて撮らんかいとは影の声) そのまんま川之江市まで戻る。 阿波池田より国道32号を南下する。 土讃線の単行列車と並んで結構クルマの多い渓流を横目に南下。 小歩危(こぼけ)にやって来る。 せっかくだったので下まで降りて20分ほど歩き回った後, 再び南下。
大歩危(おおぼけ)にたどり着く。
カメラがいがんでおる。土讃線ってローカル線か(笑) 大歩危駅のベンチで少し寝た後,大歩危観光を適当に愉しんだ。 ついでに有名な大杉にも立ち寄ってきた。
再びバイクは走り出す。 道なりに南国市までやって来た。 そのまま進み,高知市内に入る。 クルマの数が急激に増え始め,走りづらくなってきたので 特にどこにも寄らず,そのまま土佐市へ。 ここでお昼に鰹のたたき丼をいただく。ここでしか食べられないよね。 バイクはまだ進む。 窪川までやって来て急に向きを変え, 仁井田川を左に予土線沿いの381号線をそろそろと進む。 道は狭い。カーブも急。しかし我慢して走る。 土佐大正駅で一休みし, そのまんま出発したらカメラを駅においてきたことに気が付く。 時間のロス。 慌てて戻ったら駅員さん&お花売りの女の子が預かっていてくれた。 ラッキー♪。感謝です。 「乗って残そう予土線」という看板がボロボロで痛々しかった。 赤字ローカル線なんだ。多分。 バイクは西土佐村へ。ここからが四万十観光ルート。 中村市へ向けて四万十川の側をゆっくりと下る。クルマはみんな追い越させた。
「うわぁ...」 そこはまだ人の手が入っていない自然の川。しまんと。 ここまで来て良かった。生きてて良かった。 本当にそう思った。 バイクを止めて,道端に座り込み,じっと川を見つめていた。
いつまでもいつまでも 見つめていた。 ふっと我に返り,中村市へ向けてバイクをゆっくりと出す。 今日は何処に泊まろうか....もう日が傾いてきた。 今日は日曜日。町まで行けばビジネスホテルくらい空いてるだろうということで, 土佐くろしお鉄道の中村駅まで暗くなった道を走り, 近所のビジネスホテルを紹介してもらい,そこへ荷物を下ろした。 ここでお土産を買い込む。カツオでいーよね。土佐の国だしね。安いし(本音)。 うらぶれた南国の町中を,焼き鳥をほおばりながら, しばしたたずんでみる。 頭の中を,武田鉄也の「思えば遠くへ来たもんだ」が流れていた。 踏切の側に立つ。知らない人が私の側を通りすぎていく。 四万十川のことは忘れないよ。
翌日.... 9時頃までひたすら寝てた。 あまりにくーくー寝ていたので そのうち四国に永住するのではないかと思うくらい寝ていたが, 10時を過ぎると超過料金だとフロントに起こされたので さっさとホテルを出発する。 国道321号を土佐清水市へ南下, 海岸線をへらへらと走り,足摺岬で背伸びをしてみる。岬の灯台。ライダーってこんなのばっかり目指しているような気がする。
太平洋だよな〜 と意味のわからんことをつぶやいてみる。 しばらく海を見つめていたが,ふとつぶやいた。 「帰ろう」.... 心機一転,321号に乗り直す。 宿下市を通過,海岸線の眺めを愉しみながら宇和島市へ入る。 朝+昼に鰹のたたき丼をまたしてもいただき,のんきに56号を北上する。 目的地は道後温泉(笑)。 風呂にはいるのが人生よ−....ってなもんで, ほどなくそこそこ都会的な町並みの松山市へやって来た。 フロはどこかなぁ....とあたりを見回してもあまり手がかりはなかったが, 伊予鉄が「道後温泉」と書かれた看板下げて走っていたので, 市電の後をついていくことにした。 停留所で律儀に止まり,市電を追いかけ回すバイク。 多分周囲の人には「何だありゃ」と映ったことだろう。 追いかけること約15分。 道後温泉街に到着。
ちゃんと夏目漱石の湯(坊っちゃんの湯)もあった。 銭湯みたいなものなんだなぁ。 290円を払ってやたらと熱い風呂に入ってくる。サウナみたい(笑)。 展望風呂は貧乏なので敬遠(笑)。 まわりはお土産屋がひしめき合い,一種の観光地と化していた。 平日の真っ昼間にもかかわらずそれなりに賑わっていた。 日本人って温泉好き..というかフロ好きだもんなぁ。 日が少し傾きかけたところで,予讃本線を併走し, 伊予北条周りでひたすら東方向に走る。 途中で旅行会社があったので,本四連絡船の情報をきくために立ち寄る。 と,新居浜から大阪南港までフェリーがあるとのこと。 速攻で切符を買い,新居浜港へ向かって爆走する。 夜8時。 新居浜港へ到着。 もう海産物はいいとばかりに,近所のココ壱番屋でカレーを食べ, フェリー乗り場へ向かい,近所を散歩する。
カッコイイだろ(笑) 再び「思えば遠くへ来たもんだ」が頭の中で鳴り始めた。 四国かぁ。また来るかなぁ。来れたらいいけどなぁ。 そんな想いで船に乗る。バイクは私を含めて2台。 いやぁ,お互いヒマ人ですなぁとその人と笑っていた。 フェリーは夜討ち朝駆け便なので船内には何もない。船内もガラガラ。あとは寝るだけ。
翌日.... 朝8時頃に大阪南港へ到着。 いや,フェリーってありがたいですヨ。ホントに。 あとは仕事で走り慣れた道。\600払って阪神高速に乗り, 池田線よりLoopを経由して松原線へ。 そのまま来たときとはうって変わっていい天気の西名阪道と名阪国道を ノーテンキに駆け抜ける。 トラブルもなく,昼前に自宅に到着。 家はいいよなと,ぐうぐう寝ていたっけ。